忍者ブログ

WILD HYBRID

40歳から第2章の人生をスタートしたGID(FtM)の航海日誌 

2024/09/20  [PR]

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

  • :2024/09/20/10:35

2010/08/19  男友達

僕には長年の付き合いになる男の友人がいる。
もう20年ぐらいになるだろうか。
彼はもちろん僕の女性時代もよく知っている。
つか、女性時代での付き合いの方が長い。

なぜなら、僕は41年の人生で、37ぐらいまでを女性として生きていたからだ。
とは言っても、判別不能な(男性化した)感じで生きていた年月も半分近くあるので、まるっきり女性だったわけでもないけど。

いずれにしても、その友人は僕にとって最古の旧友で、かつては恋人でもあった。
いわゆる「元カレ」ってやつだ。
まぁそんな甘い言葉が似合う関係は、当然のことながらもはやお互い心身共に微塵も無いが。

しかし、男女の関係に限らず、そういった個々の人間関係の感覚は、当事者にしか分からない。
事実上の関係だけを言葉にすると、多くの人は首を傾げる。

例えばの話、世間一般的に「肉親であれば愛情があり仲が良いはず」という認識があっても、全ての家族がそうであるとは限らない。
他人以上に疎遠な関係もあれば、憎み合っている関係すらある。
様々な経緯があって、当事者にとってはそれが自然な流れに沿った感情であっても、他人は自分に置き換えて考えようとするのでさっぱり理解できない・・・そんなこともある。

だからそもそも人間関係というものを理解しようとすること自体に無理があるのだが、人はついついそういったことに好奇心を抱き、聞き出して自分に置き換えて考えたがる。

僕の旧友が僕に対してどういう感情を持っているか、僕は知らない。
そんなこと分かるさ、なんて言う方がよっぽどウソ臭いし、おこがましいだろう。
どんなに親しくとも、人の心の奥底まで、人が分かるわけはないのだ。
ただ、長年付き合い、かつては夫婦同然に一緒に暮らした仲だから、ある種の情は存在すると思う。
僕はけしてダナーズではないが、彼に対する情は確かに僕の中にある。
あえて言うなら、僕にとっては家族みたいなもんだ。
向こうもいろいろと僕を心配したり世話を焼いたりしてくれるから、似たような感情なのかもしれない。
ただ、明らかに男が女を心配したり、男が女に世話を焼くような形のものではないけれど(かと言ってまるっきり男扱いをされてるというわけでもないが)。

彼は僕より上の45で、独身(ちなみにノンケ)。
彼は仕事面及び収入がしっかりしている、僕はその点は彼に比べてかなり心もとない。
その代り僕は日常生活に於いて収入面以外はしっかりしている、彼はそこがかなり抜けている。
それぞれお互いこの先結婚ももうないだろうし、いつ孤独死してもおかしくない環境と年だから(笑)、わりと頻繁に連絡を取り合い、弱点をフォローし合い、助け合い、気にし合いながら日々を過ごしている。
彼とは趣味が共通していて、とりわけ冬の時期は週末を一緒に過ごすことがほとんどなので、送り迎えも面倒だし時間もロスするから合理的にルームシェアでもしようかなんて話も出ている。

FtMの僕にそんな家族同然の男仲間がいると話すと、多くの人は不思議に思うらしく、8〜9割方言われる言葉がある(主に女性に言われる)。
「相手の人(男友達)、心の広い人だね〜」、若しくは「やさしい人だね〜」、「器の広い人だね〜」等々。

親しい友人を褒められれば、僕だって嬉しいし誇らしい気分にはなる。
が、しかし。
ひねくれている僕はふと思うのだ。
その言葉の続きには、無意識に何が含まれてるんだろう、と。
例えば、「彼女でもない相手に」とか、「身体の関係もないのに」等々(実際そう言われたこともある)。
まぁ確かにそれも事実だし、一理あるんだけどさぁ・・・。
でもそれって平たく言えば、卑屈だけど、「(俺が)GIDなのに」っていうことだろ?

何?ソレ
ってことは、何、俺、「お友達になって頂いてる」わけ?
そうでもなきゃこういう関係はあり得ないってこと?
肉体関係が(生物学的に)可能な人間同士は、肉体関係を有さないと助け合うはずがないって意味?
むしろそんなこと言うヤツの方が、「身体提供すれば面倒見てもらって当たり前」って思ってんじゃないの?

僕らGIDに、ある意味「同性」はいない(というのが僕の考えだ)。
強いて言うなら、FtMにとってはFtMが、MtFにとってはMtFが、唯一の同性だ。
その人の性自認によって千差万別だが、一般社会の男女別で考えると、大雑把に分けてしまえば、肉体上の同性は精神上で異性になり、精神上の同性は肉体上だと異性になる。

ってことは、異性間の友情が成立しないと考えるならば、FtMはFtMとしか友達になれないって話になる。
しかし、僕にはむしろGIDの友達がいない。
友人はある意味、みんな「異性」だ。
ホルモン投与して性欲だけは男並みの僕でも、女性と友達になれないわけじゃない。
性欲が強いからと言って、女と見れば片っぱしからセックスの対象になるわけでもない。
相手に魅力がないというわけじゃなく、魅力があっても友人であることが一番いい関係であると判断すれば、それを維持することはできる。
人間の魅力は、何もセックスアピールだけではない。
「友達になってやるよ」としか思えないような人間とは、そもそも付き合い自体しない。
誰だってそうだろ?僕だけ?

僕の男友達のことを「心の広い人だね〜」と言った人は(悪意のないことは分かっちゃいるが)、男友達側だけが譲歩やガマンをしてGIDの僕と友人になってくれている、と根底では思っているんじゃないだろうか。
発想というものは、無意識に出るその人の根本的な考え方の写し鏡でもある。
もしかすると、それを言った人自身が、自分がもし彼だったら僕と「友達になってやる」という感覚を持っているのか、若しくは異性との友達関係自体持てない人なのかもしれない。

確かに、男友達が譲歩してくれてる部分もあると思う。
その譲歩の部分の中に僕とヤツの場合は「GIDである」という要素も含まれているだろう。
女性時代を知ってるだけに、変に気を遣わせている部分もあれば、戸惑わせてしまっている部分も多分にあると思う。
そこは間違いじゃない。
自分でもそこは申し訳なく、心苦しく思っている、僕の弱みだ。
だが、男女抜きで、人間関係で考えれば、僕だって彼に対して譲歩もしているしガマンしている時もある。
そこに「GIDである」という要素がないだけだ。
それでもなお且つ、互いが互いを大事に思ってるから、性欲を満たすというメリットがなくても友人関係が続けられるのではないか。
そうでなきゃ、単純に、友人関係や家族愛ってものそのものが成立しなくなるんじゃないの。

・・・なんて長々と屁理屈を書いたけど、結局、卑屈に解釈しすぎてるだけなんだろうなぁ(笑)。

拍手

PR

+コメントの投稿+

+NAME+
+TITLE+
+FONT+
+MAIL+
+URL+
+COMMENT+
+PASS+
  Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字

+TRACK BACK+

+TRACKBACK URL+