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WILD HYBRID

40歳から第2章の人生をスタートしたGID(FtM)の航海日誌 

2024/09/19  [PR]

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  • :2024/09/19/23:50

2013/02/25  内性器の摘出手術について

前記事とカブる内容になるが、こちらもコミュニティからのテーマ。

戸籍変更を考えてる人は、現時点での日本の場合、否が応でも内性器の摘出を考えなければならない。
何故なら日本の法律では、戸籍変更にあたって、内摘が必須条件だからだ。
そのため、メンタル的、肉体的、日常生活上、内摘までは必要ないと思っている人(または僕のようにリスクなどを天秤にかけた結果しなくても妥協できる人)でも、戸籍変更を望む場合は内摘せざるを得ない。

本来この法律は、(おそらく)内摘まで済ませているのに戸籍上の性別が元のままである人の意思と人権を尊重して、この条件であれば戸籍という絶対的なIDの変更を認めよう、という意図から作られたものではないかと思うのだが、現在は結果的に「戸籍上の性別を変えたいなら内摘までしなさい」という意味合いの本末転倒な法になりつつある。
他の国によっては、内摘までしていなくても、パスポートの性別表記が望む性にできたりもするらしいので(実際には何かしらの条件などはあるとは思われますが、詳しくないので明言は避けます)、日本も見習って極力GIDが不要にリスクを背負わなくていいような柔軟な対応をしてほしい願う。
が、しかし、柔軟性に欠ける不器用な日本社会と、自己責任という考え方が諸外国と比較して確立していない日本人では、その規定を緩めてしまった場合、様々な問題が噴出する懸念もあり、僕個人は手放しで「性別変更の規定を緩くしてほしい!」とも主張し難い(もちろん緩めてもらえれば僕自身にもメリットはあるのだが・・・)。

そんな内容が前回の記事だったのだが(前置き長くてスイマセン)、今回は戸籍変更という理由以外での内摘手術について書きたいと思う。

男性ホルモンによって生理が止まるということは、閉経に近い状態になるということ。
生理が止まる=即閉経ではなく、卵巣の働きを男性ホルモンで抑え込むような形になるんだけど、抑え込まれているうちに内性器は委縮していく。
生理には自浄作用もあって、月周期で子宮内膜を新しくしているわけだが、この生理が止まると子宮の自浄サイクルも止まり、感染症になりやすくなったり炎症なども起こしやすくなる。
また、閉経後の女性と同じく、子宮体癌や卵巣癌になるリスクも増える。
普通の女性であれば、そういったリスクが高まるのは閉経後のおおよそ50代からで、80歳まで生きたとしても、その期間は約30年。
しかしGIDの場合、若い年齢から治療を始めると、たとえば20歳でホルモン治療を開始したとしたら、一般の女性よりかなり早いうちからリスクを背負うことになる。
また、若い年齢で発症する癌の進行は早い(リスク自体は癌だけではないが)。
戸籍変更のためでなく、医師によっては医学的な面から、内摘を勧めるのはこれが理由だ。
内摘してしまえば、その臓器そのものが病気になるリスクは排除できる。
確かに僕も、GID治療前にかかっていた婦人科医から「もし男性ホルモンを長く続けるなら、子宮や卵巣は取ってしまった方がいいかもしれない」とアドバイスされた。

ただ、内摘がメリットだけかと言うと、そうとも限らない。
開腹&全摘手術には様々なリスクが伴う(以下は女性内性器摘出の場合)。
外科的手術(開腹)によって死亡するリスク、全身麻酔・硬膜外麻酔のリスク、輸血の可能性が出てくるリスク、合併症のリスク(尿管損傷、膀胱損傷、腸管損傷(1/1000人)、感染、術後出血、癒着、腸閉塞、下肢静脈血栓症、肺塞栓症、腎不全、骨盤内臓器の脱下垂、性機能不全)、術創の疼痛・痒み・ケロイドのリスク、心臓疾患、骨粗鬆症、尿失禁などの確率が高くなるリスク・・・などなど。
無論、ホルモンを製造する臓器がなくなるわけだから、生涯ホルモンは打ち続けなければならない。
女性ホルモンがほぼ出なくなることによって、更年期障害が進行したり、骨粗鬆症になるリスクも高まる。
内摘しなくても簡単に後戻りは厳しいのだが、内摘をしたら100%取り返しはつかない。
もし何かしらの事情で生まれついた性を生きようと思ったり(もしくは生きなければならなくなったり)、子供がほしいと思ったとしても、不可能になる。
(「気が変わったら」という表現をすると反感を買うかもしれないが、たとえば海外ではいつか子供を産むために内摘をしないままにしておいて、実際に男性ホルモンを一時的にやめて妊娠→出産したFTMもいるし、この世にも人の気持ちにも『絶対』はないと僕は思っているので)

個人的には、臓器の癒着が怖い。
内臓はナメコのようにヌルヌルしていてくっつかないらしいのだが、手術するとこのヌルヌルが取れてしまい、内臓同士がくっつきやすくなるんだそうだ。
術後すぐに少しでも動くことで多少防げるらしいが、万一臓器が癒着してしまった場合、そして後にその周辺の臓器が癌など何かしらの病気になって手術が必要となった場合でも、癒着しているために手術が困難になる・・・というケースもある(もちろんこれはGIDの内摘に限った話ではない)。
また、病気によって内性器を全摘した女性には、排尿障害に悩まされる人も多い(頻尿、失禁など)。

内性器を残すデメリットもあるが、全摘してしまうデメリットもあるということだ。

僕の場合はそれらを天秤にかけた上で、悩んで、(今のところだけど)内摘をしないという結論に至ってる。
理由は、主に僕自身の年齢もあった。
どのみちあと10年もすれば閉経だった。
手術は体力的にもきついだろうし、いつ何時病気で手術が必要になるか分からない年代に入っている。
家系的に臓器疾患になる確率が高く、その際癒着があって手術できないと命取りになる可能性がある。
自分の生き甲斐でもある趣味に支障をきたす後遺症が残る可能性がある。
残りの人生もさほど長くないであろうから(笑)。

しかし、年齢がまだ若い人の場合、卵巣を男性ホルモンで抑え込む期間が長くなると思うので、必ずしも僕と同じ選択肢が最善とは限らない。
いずれを選ぶにしてもメリットだけではないので、主治医と相談しながら、時には(環境が許せば)セカンドオピニオンで他の専門家の話も聞き、デメリットの部分もよくよく理解して熟考した上で、急がず慌てず焦らずに(取り返しがつかないので)、自分にとって最もベターな選択をして欲しいなと思う。

内摘(特に女性内性器の全摘)の詳細については、「GID」や「FTM」を絡めたワードでググるより、「子宮摘出」「卵巣摘出」などのワードでググる方をお勧めします。
全国に、様々な女性内性器の病気で、望まずに全摘せざるをえなかった女性の方がたくさんいます。
そういった方のための医療専門サイトや体験談の方が、デメリットや後遺症などについては現実的な詳細が書かれている気がする。
女性の体から女性内性器を摘出するという点では同じことになるので、そういった方々のお話しも参考にさせて頂いて、今一度よく考えて決めてください。

各々の体の事情、状態、体質、心の事情、状態、考え方、年齢、環境・・・様々な事情があると思うので、僕にはどうするのが一番いいとはけして言えない。
他者からすれば、正解も間違いもないんだと思ってる(当事者にはあるのだろうと思いますが)。
ただ、内摘するにせよ、しないにせよ、デメリットは必ず自分自身が背負っていくことになる。
その時になって、「こんなんなるならやらなきゃよかった」と思っても遅すぎる。
万一そうなってしまっても、それは誰のせいでもなく自分の責任。
だから、ホルモン治療にしろ、内摘手術にしろ、メリットだけに着目しないで、できるだけたくさんの正しい知識、情報を積極的且つ能動的に入手して、メリットとデメリットを両方知り、理解し、納得、覚悟した上で自己責任に於いて選択してほしいと願います。
最低限、やったあとから「知らなかった」ということにだけはならないように・・・。

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