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WILD HYBRID

40歳から第2章の人生をスタートしたGID(FtM)の航海日誌 

2024/09/20  [PR]

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  • :2024/09/20/06:04

2012/12/01  保険証の性別記載(追記)

『厚生労働省は9月21日、戸籍上の性別が確認できることを条件に、性別の表記方法は市町村の判断で工夫できるとした通知を出した』という件について、以前の記事で触れたが、ちょっと考えたことがあったので追記したいと思う。

この厚生労働省のお達しは、詳しくはこちらのような内容。
これは本当に、保険証の提示が苦痛なGIDにとっては、革命の一歩だった。
他ならぬ僕自身も、GIDの治療で通っているある程度理解のある病院は別としても、全く関係ない医療機関にかかる際、また、身分証代わりとして提示する際、性別の記載された保険証というのは非常に気が重いものだった。
パス度が低い頃、それを出してすんなり通れば通ったでつらいし、パス度が上がれば上がったで、保険証見せた相手が性別表記に気づいて一瞬見せる「・・・?・・・え?あれ?・・・あ、そうなの?」的なリアクションも(被害妄想かもしれないけど)しんどい。
だから、保険証表記の改革は、僕にとっても喜ぶべき進歩だった。

そこのところは、まず、明確に主張しておきたい。
僕もこの動きに賛同なのだ。

ただ・・・。

ただ、ふと思ったのだが・・・。
例えば、身分証で提示する分にはいい。
実際に男か女かなんてことは、大して重要ではない。
それと、男女で治療に違いのない医療機関(科)にかかる際も、それでいい。
全ての医療機関でカミングアウトしなければならないのは本当に面倒だし、その結果医療機関に行くこと自体が苦痛になれば、病気や怪我の悪化に影響し、日常生活に大きく支障が出てくる(下手すれば命にも関わる)。

しかし、万一男女によって差がある検査結果の数値を診断されたり、薬の投与方法などが違う治療を受ける場合はどうなるのか?
勿論、裏面に(元の)体の性別とGIDであることは明記されているかもしれないが、果たしてそれは見落とされることがないのか?
自己申告できる状況ならいいが、もしも意識のない状態で運ばれ、事情を知っている知人が一緒でなかった場合は?

考えすぎかもしれないし、そもそも血液型を間違えて輸血するような誤解から起こる医療事故が男女の違いで存在するのかどうかも分からないが、不意にそんな懸念も浮かんだので書いてみた。

なぜそう思ったのかというと、意外と医療機関でも性別の記載を注意して見ていない人が少なくないということを知っているからだ(パス度が高くなれば尚更である)。

僕は国保なので、毎年行政の健康診断を受けている。
当然保険証も出すし、問診票兼健康診断票にも予め性別は女性と記載されている。
去年までは病院に予約する際、前もってカミングアウトをしていたから、病院側も(こちらが申し訳なくなるぐらい)配慮してくださって、幸い問題なく健診を受けることができた。

しかし今年の健診は、引っ越した関係もあって、初めての病院で健診を受けることになった。
予約が必要なかったので、性別のことは当日受付で言うか問診票に書けばいいと思って病院へ行った。
受付が混み合っていたため(口頭で事情を言いにくかったので)、僕は渡された問診票に性同一性障害である旨とホルモン治療を受けていることをしっかり書き、且つ女性表記の保険証を渡して順番を待ったのだが・・・。

しばらく待って渡された検尿カップには、しっかり『』と印刷されていた
当然、カルテも『男』

パスしたことは素直に嬉しい。
しかし、である。
黙ってこのままにしていたら後々面倒なことになるのではないか、と考えた(まぁそのまま受けてみて、結果まで男のままスルーされるかどうかを試してみてもよかったのかもしれないが)。
どこかでカルテと保険証記載の内容を照合することになり、もし間違っていると判明したら、後から事情聴取で呼ばれたり、他人の保険証を流用して使ったと疑惑を持たれたり、最悪は健診の受け直しになったりするかもしれない。
そうしたら非常に面倒だ。

おまけに、保険証記載の『女』で健診を受けているのに、『男』のカップを渡されて、一体どちらのトイレに入ってカップを置いてきたらいいのか?
今の僕は普段男性用のトイレに入っているから、男性トイレに入り、『男』と記載されているカップを置いてくる分には特に問題ない。
ホルモンも打ってるし、血液検査の結果や(おそらく)尿検査の結果も、男性の基準値で判断されても大丈夫だろう(と思う)。
だけど、もし結果に『女』(でもある体だ)ということを加味してないと不自然な数値が出たら・・・・・・あぁ面倒くさい。
それならば、今のうちにカミングアウトしておいた方がまだ楽だ。

・・・ということで、泣く泣く看護師さん捕まえて口頭でカミングアウトをし、訂正してもらった。
看護師さんも慌ててカップの記載とカルテを訂正してくれた。
横棒二本引いて、赤文字で『』と・・・(それじゃめちゃめちゃ目立つっつーのに)。
ちなみに、この時は誰もいないのを見計らって女子トイレに入り、ソッコーで提出して逃げるように出てきました、ハイ(笑)。

要するに、言いたいことは「病院の人もそれだけ意外と性別表記を注意して見ていない場合がある」ということだ。
勿論見ている人の方が普通なのかもしれないが、外見上ほぼパスしてると、受付の人や看護師さんも人間であるから、保険証上の記載をうっかり見逃してる人もいるのは事実なのだ。
当然『見ていない』人に当たった方がこちらとしては気が楽だけども、もしも不測の事態(事故や急病)でその人に当たってしまったら・・・本当にそれでも問題ないのだろうか?と不安になる。
表の面に書いていてもそれなのだから、それが裏面となれば尚更そういったことは起こりうるのではないか・・・そんなふうにも思った。
と同時に、『裏面記載』と書かれれば普通に書かれてるより目立つので、かえってそれで見る人の注意を引くような気もした。

まぁ「GIDで治療に踏み切るならそれぐらいの覚悟はしとけ」という根性論の人もいるかもしれないが、治療に踏み切るのは少しでも快適な日常生活を得るためである。
治療上の不便や副作用の覚悟は必要であるかもしれないとしても、適切な医療を受けられない覚悟までしなければならないものなのだろうか。

かと言って、僕は最初にも書いたとおり、『保険証の性別表記形式変更』について、けっして反対ではない。
僕は免許証があるから普段の身分証はそれを出して事を済ますことができるが(免許証には性別表記が無いため写真さえパスしてればほとんど問題ない)、保険証しか身分証明証が無い人にとってはことさら深刻な問題だ。
だから思うに・・・。

ここから先はあくまでも僕の、現実味のない理想論になってしまうのだが。

保険証に性別表記は必要だ。
適切な医療を受けるために、これは必須である。
残念ながら、FtMはSRSしても『元女』の肉体という現実から逃れられないし、MtFも『元男』に変わりはない。
SRSを受けて戸籍まで変えれば記載上変えることはできるが、人は年を取りやがて必ず老いて体を壊す宿命なので、治療上申告が必要な場面がないとは言えない気が(個人的には)している。
その上で、社会上及び医学上、性別は『男女』という区別が浸透しすぎていて、『その他』的な分類を加えて認知してもらうのも即時という点では現実的じゃなく・・・そういった少し事情のある人たちが、その事情を把握してもらった上で、その時の状況に応じた適切な医療を受けるためには、やはり現段階で保険証に性別表記が無くていいとは言い難い。

それならば、いっそ保険証の(性同一性障害という記載も含む)性別というプライバシーに関しては、文字で記載しないで、医療機関では磁気カードとかバーコード、QRコード方式といった形で読み取るようにしてもいいんじゃないかな、と思う。
・・・ちょっと非現実的かもしれないけど(システム構築に税金がかかりそうなので批判も浴びそうだし)。

まぁレンタルショップやその他身分証の必要なところで性別が見えないと、男女共通で使えそうな名前の人の保険証は異性の知人友人彼氏彼女が悪用したりとデメリットがないとも言えない。
その部分は何かしらの対策が必要としても、現段階で同性同士の流用というのは対策がなされてないわけだから、いずれにしてもその辺りは性別関係なく対策が必要なんだと思う。

性別表記を無しにする。
別の表記でプライバシーとして、関係者だけが読み取り可能な情報にする。
そして、読み取った時のPC画面に『元女(男)、性同一性障害による治療中』と表示されても、いちいち驚かれないほどマイノリティーの存在が浸透する。
最終的には、マイノリティーであることが、人に知られることを怯えるような情報(弱み)にならない社会になればいいなぁ・・・と。
いい年して能天気なこと言ってんなって笑われそうだけど・・・そんなふうに思ったりもするわけです(笑)。

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無題

医療関係者なら逆に我々のことは理解してるべきだと思ふ・・・

  • :2012年12月09日日
  • +
  • +:シェイン
  • +
シェインさんへ
コメントありがとう。
僕もそう思うよ。
性別の部分って、違和感のない人にとってはおそらく五感で瞬時に感じ取るだけのもので、普段意識すらあまりしないものなんだろうなって思う。
医療関係者だって人間だし、だから見落としっていうことも起こるんだろうなぁ・・・
意識されないことは僕個人としては楽だけど、医療現場でだけはそれだと怖いケースもある。
現代は多様な性別のあり方があって、その部分を抑え込まず生きる人も増えてきたから、医療関係者にも徐々に広い意味で再認識や再意識をしてもらえたらいいなって思うよ。
【2012/12/10 18:44】

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