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40歳から第2章の人生をスタートしたGID(FtM)の航海日誌 
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2010年から2012年の間、ほぼブログをすっ飛ばしてしまった2011年?。
そんな2011年には、日本国民なら誰もが忘れられない、忘れてはならない東北の大震災があった。

僕が住んでいるのは関東首都圏で、東北ほどの大打撃はなかった。
ただ、屋内外のモノがぶっ倒れたり(160cm以上ある鏡やスタンドライトが全部倒れてた)、引き出しが全部開いてたり、積んであったCDが全崩壊していたという被害はあった。
一番ヒヤッとしたのはベランダに置いてあった車のタイヤ&ホイルだ。
ラックに重ね、カバーをかけて置いてあったのだが、それが丸ごと倒れていた(カバーかけてなかったら手すり突き破って階下に落ちてたかも・・・と思うと恐ろしい)。

震災後に起こった渋滞も凄まじかった。
特に上り方面は数時間かけて1m進むか進まないかのレベル。
電車が全線ストップしていたし、当然と言えば当然なのだが・・・。
関東で大地震が来たら、絶対に県外に逃げることは出来ないな・・・と覚悟した。

震災のあったあの頃、僕はまだホル注を3週250mg(2A)のペースで打っていた。
地震があったのは金曜日。
僕は翌週の月曜日に次のホル注の予約を入れていた。
電車は震災の翌日には動き出していたものの、まだ余震も多発していて、遠い病院に行くのは少々不安でもあり(片道2時間)、また、あの非常時、国中が混乱している最中、果たしていつも通り行っていつも通り打ってもらえるのか?ホルはあるのか?などの心配もあった。

それでも他にアテがなければ行くしかなかったのだが、奇しくも僕は以前、主治医に紹介状を書いてもらっていた。
車で30分も走らないところにある、大きな病院の婦人科医に宛てた紹介状だ。

いつかは2週125mg(1A)に量を減らそうと思っていたものの、遠い病院に隔週で通い続けることは時間的にも交通経費的にもキツイし、なんとかホルだけでも近くで打てれば・・・と、僕は前々から先生に相談していた。
その時紹介して頂いていた病院にもっと早く行っていればよかったのだが、主治医がGIDに対して非常に理解も知識もあって信頼がおけたこと(GIDの外来も多く病院のスタッフも慣れていた)、紹介先はGIDを受け入れた前例がなく、大きな病院で、初診だと時間もかかるだろうし、前例がないとなるとどういう扱いになるのか・・・と、不安もあってついつい延ばし延ばしにしてしまっていた。

しかし、今は非常事態。
できることなら状況が少し落ち着くまでは近間で済ませたい。
ダメもとな気持ちで、病院に電話をかけた。

受付の方はとても丁寧な対応だったが、非常時のため、新規は受け付けておらず予約しか診察をしていないという回答。
そこで、紹介状があること、自分がGIDで、定期的に打たなければならない注射があること、紹介状を書いて下さった先生の病院は遠くて現在の状況下で行くのは難しいこと、近くで処置をしてもらえる医療機関のアテが他にないことなどを説明した(厳密に言えば1軒だけアテがあるにはあったが、この状況下でなお行きたくないクリニックだった)。
すると、事情を聞いた医師が直接電話に出て下さり、僕の話を聞いて診療をご快諾下さった。
地獄に仏とはまさにこのことだ。

あんな時だったので初回の診察は相当待ったが、待つ時は他の科(婦人科以外の科)の前で待たせてくれたり、呼ばれる時は別の入り口から診察室に抜けさせてくれるなど、「そこまでお気遣い頂かなくても・・・?」というくらい配慮して頂き、無事初診察。
先生はとてもサバサバした気持ちのいい方で、僕の話や過去の治療歴を聞いた後、この先しばらくの注射の予約も入れておいてくれた(この病院では注射のみでも先生の診察時に予約が必要なので)。

そんなわけで、僕は震災時も周りの方のご協力でホル注を打つことが出来たのです。
本当にありがたかった。

確かに僕にとってホル注はとても重要なものだが、あの緊急時、本当に命の瀬戸際にいる人たちのニュースを見ながら、どこかで申し訳ない罪悪感を感じることもあった。

あの時、人工透析を始め、緊急性のある医療処置を必要としている方たちがたくさんいた。
被災地ではそのための医療機関・設備・医薬品が足りず、被災地ではないこちらでも医療機関はそういった人たちを最優先に診療していた。

極端な話で言えば、僕はホル注を打てなくても死にはしない(ホルモンバランスが崩れて体調は壊すかもしれないが)。
それでも、次のホル注の予定日が迫っていたために、アセッたし不安だった。
処置してもらわなければ命に関わる人たちのアセりや不安や恐怖は、そんな僕の想像をはるかに超えるものだったろうと思う。
医師も病院のスタッフも、あんな時でもとても親切な対応をして下さったので、それがかえってなんだか申し訳ない気持ちにもなった。

また、被災地にもたくさんいると思われるGIDのことも頭に浮かんだ。
あれだけのケガ人や死者の出た現地で、しかも医療機関や医薬品が足りずに、重度な疾患があったりケガをした人などが優先される中、ホルが打てずに困っていた人もたくさんいただろうと思う。
家屋や家財が流された人の中にはFtMやMtFの方もいて、生活上必要不可欠品(FtMならナベシャツとか)を流されてしまった人もたくさんいたんじゃないだろうか。
また、長期に渡る避難所暮らしでプライバシーを保てない中、風呂などで苦労をした人も少なくはなかったはずだろう。
他にも、GIDだと隠していたのに知られてしまった人、そのためにイヤな思いや差別を味わった人・・・いなければいいのだが、たくさんいるような気もする。

流れるニュースを見ながら、もしここに自分がいたら・・・といろいろなことを考えた。
しかしこれはけして他人事ではない。
今やいつ自分がその立場になってもおかしくはないのだ(東海沖だけじゃなく、千葉東方沖だの東京湾直下だの、果ては富士山噴火まで近いと言われている昨今で)。

その時、どうするか。どうすればいいか。
勿論、まずはGIDだなんだっつーこと抜きで生き残ることと助け合うことがミッションだが、その次に、襲ってくるであろうGID以外の人には分かってもらえない深刻な状況をどう乗り越えるか。
ちょっと真剣に考えてみたいと思う。

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Name: Jyn@Hybrid
Sex: おねにーさん→
    →オバジサン?→
    →オバジィサン?
Age: ミドルエイジな40代からの
    シニアエイジに片足突っ込んだ50代
About:
TransgenderとかFtMって言葉にほのかな違和感がある。「男になりたい!」とか「男に戻りたい!」っていうよりは、ただ自分らしく自然に生きたいだけ。Sexual-MinorityとかGIDって言葉にはなんとかしっくりくる。確かにマイノリティなんだろうし、社会上ノーマルな価値観から見たらGenderのIdentityに「違和感を感じる」っていうある種の障害があるんだろうから(笑)。
男とか女とかじゃなくて、「見ての通りの自分です」でいいじゃん。どっちかになるためにどっちかを完全否定(排除?)するんじゃなくて、ハイブリッドでいいじゃん。生まれ持った性別は、度合いは違えど死ぬまで背負わなきゃならないんだから、妥協だって大切な選択肢じゃない?妥協点が人それぞれ違うだけで。
現在遂に50代到達( ;∀;)。40歳から第二の人生がスタート。40でジェンダークリニックに通院、41でホルモン治療開始のLate Starter。悩んできた過去は僕の財産。残りの人生は好きに生きたい。
カテゴライズが嫌い。固定観念や価値観の押しつけが嫌い。趣味は身体動かすことと引きこもること。
カカオ、Skype持ってますので、ご連絡の場合は拍手コメント(非公開)かTwitterのDMからIDご連絡ください。
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