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WILD HYBRID

40歳から第2章の人生をスタートしたGID(FtM)の航海日誌 

2024/09/21  [PR]

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  • :2024/09/21/02:41

2012/12/31  歯が取れた

年の暮れが近づき、バタバタしてブログもサボってしまいました。
これ書いてるのはもう年明けですが、一応さも当日のように書きます(笑)。

本日、この大晦日という最悪のタイミングで差し歯が取れた
前々からなんだか軋むなぁって思ってたんだけど、まさかキシリトールガムごときで取れるとは思わなかった。
しかも大晦日に。

仕方がないので大掃除は中止。
当然歯医者はやってない。
まぁ年明けまで待てば行きつけの歯医者で付けてくれるだろうけど、歯無しで年越しも侘しい。
で、迷ったけど休日診療してるセンターに行くことにした。

行きつけの病院以外、保険証を出さなきゃならないとこに行くのはイヤなんだよね~。
とは言え、歯無し年越しも嫌だから言ってられない。
受付して保険証を出し、歯科に行って問診票を書く。

内科その他は激混みだったが、幸い歯科は差ほど待ちもなく、すぐ診てもらえた。
取れた差し歯をそのままくっつける、という処置は本来はしないのだが、取れた歯が欠けてないこと、土台にも大きな損傷が無いこと、年明けには必ずかかりつけに行くことを条件に仮接着してもらえた。
ああ~、よかった(笑)。

これで心おきなく年が越せる。
どうか皆様もよいお年を!

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2012/12/05  ジェンダークリニック

2日続けて病院。
今日は夏以来久々のジェンダークリニック。

今まで神奈川に通っていたんだけど、諸事情で今回から東京になった。
先生は同じ。
今日は初の東京での診察。

僕の場合、ホル注から先をまだ具体的には考えていない。
勿論、胸オペはできればしたいという願望はあるけど、今のところ切羽詰っていないし、その予定も立てていない。
だからカウンセリングといっても近況報告で、先生に顔を見せに行くという感じだ。

目的の治療(例えばホル注であるとか胸オペであるとかSRS)まで達してしまったら面倒になるのか、カウンセリングに行かなくなる人も多いという話も聞く。
実際、確かにクリニックに行くと、大半はこれから治療、もしくはオペという感じの若い人しか見かけない(たまたまかもしれないけど)。
たとえ目的の治療まで済ませてしまったとしても、一度ホルを始めてしまうと原則的には一生治療し続けるるわけだから、本当はたまにでもカウンセリングは行った方がいいと思うし、行ってほしいと個人的には思う。
自分のために、そして今後のGID医療のために。

とはいっても、これは当事者のスタンスだけでなく、医師側のスタンスもあるだろう。
いろんな医師がいると思うから、「治療が済んだんだから無理に来なくてもいいよ」的な雰囲気を出してる医師も、もしかしたらいるのかもしれない。
それはそれで医師に問題有りなような気もするが、少なくとも僕のところの先生はそういう医師ではないから、頻度は減らしたとはいえ、僕は今でも数ヶ月に一度カウンセリングに通っている。

専門的なGID治療はまだ始まったばかりだ。
治療というのは症例の積み重ねで、当事者の我々が情報提供していかなければ進歩はない。
とくにGIDの場合、メンタル的なものだから、目に見える肉体よりたくさんの症例があった方がいい。
焦っていた頃はイライラして「自分はモルモットなのか?」と考えたときも実は密かにあったけど、そういう不快な対応をされたことは一度もない。
それに、最近は「モルモットでもいいんじゃないか?」と自ら思っている。
基本、動物実験は大反対だが、その犠牲があって、昔死んでいたような病気でも簡単に治る現在がある。
僕の場合、命を犠牲にしなくても協力ができる。
・・・まぁ変わり者だし、性別としてのスタンスもあまり典型的ではないみたいだから、参考になるかは分からないけど

そんな感じで、いつものように先生に最近の様子を話しに行った。
このところはホルの変化も(良くも残念ながらも)落ち着いてきたし、日常生活であまり性別自体を意識することも随分減り、また不便な部分は不便な部分として慣れてしまい、目新しい話題があるわけではないのだが。
それでも、ホル前にあれだけ深刻に悩み苛立っていた自分が、まだオペしたわけでもないのにホルによってこれだけストレスが減って落ち着いたということは、『人によってはそういうパターンもある』ということで参考にしてもらえるんじゃないかと思ってる。

GIDの『治療』自体はホルなり胸オペなりSRSがゴールなのかもしれないが、実際はそこで全てが解決するとは限らない。
一生向き合っていかなければならない以上、むしろそこからどう生きていくか、それからどうなったか、が重要なんじゃないだろうか。
そしてそれを担当の医師に伝え続けることは、今後のGID治療に於いて、次世代への足がかりになってくれるんじゃないかな。
だから、もし可能な医療環境であれば、たまにでもいいからカウンセリングは続けてほしいと僕は思ってます。

・・・とか言いつつ、いつも先生に会うと緊張してしまい、話そうと思ってたことが頭から飛んでしまうんですが(笑)

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2012/12/04  マンモグラフィー検査

疲労困憊な1日だった

3ヶ月ほど前、婦人科の診察を受けた際、先生に乳腺症の話をした。
震災までは神奈川の病院までホルを打ちに行っていたのだが、あの緊急時に片道2時間の病院まで行くのはどうしても厳しかったので、前々から紹介状を書いてもらっていた病院に通い始めて早1年半。
今の病院は前と違い注射だけ都度の予約というのは難しいので、3ヶ月に一度先生に診察をしてもらい、そのたびに3ヶ月分の注射の予約を入れてもらっている。
そんなこんなで3ヶ月前に先生と会って、たまたま僕が乳腺症であるという話をしたところ、「一度うちでも検査やってみる?」という話になった。

勿論、乳腺に関しては科が違うので(ホルは婦人科で乳腺は乳腺外科)その先生に診てもらえるわけではないのだが、婦人科からの紹介という形にして診察とマンモグラフィーの予約を入れて下さるという。
普通は初診の場合、午前中から行って順番を待ち、診察してもらう。
乳腺外科は婦人科と違い、時々男性もかかることがあるとは言うが、やはり婦人科同様女性比率の方が圧倒的に高いので、いざ受診しようとなるとなんとなく気後れする。
そのため、予約を入れてもらえるというのは非常にありがたい話だった。

で、その予約日というのが今日だったのだ。
マンモグラフィー検査は(ブログ読み返すと)2年ぶり。
僕は乳腺症があるから、マンモだけでなくエコーも受けた方が安心なので、診察ではそれもお願いした。

最初は放射線室に行き、女性技師さんの前で上半身裸になりマンモグラフィー撮影。
横に縦にと左右の乳房を順番にむぎゅ~~~と機械で押し潰しての撮影(笑)。
2年前に比べて明らかに胸が小さくなって弾力もなくなったから痛いかと思ったけど、僕の場合はなんだか大丈夫だった。
ただ、きちんと撮影するために技師さんがマシンに乗せた乳房を引っ張り上げたり集めたりして整えるのが、やたらと恥ずかしかった

その後、診察室に戻って先生(男性)の前でまた上半身脱いでエコー検査。
幸いそのどちらでも、乳腺症の所見はあるものの、異常は発見されなかった。
先生の話では、ホルモン投与と年齢で乳腺が委縮してきていることから、今後は定期的にどちらかの検査だけすれば大丈夫なのではないか、ということだった。

実は整形外科や内科や耳鼻咽喉科など、普段に縁の多い診療科以外で、男性の医師というのは久しぶり。
特にホルモン治療を始めて以来、乳がん検診的なもので男性の医師に診てもらったというのは20年近くなかったから、汗かくほど緊張した。
婦人科の先生から僕の事情は聞いていたため、乳腺外科の先生も気を遣って下さって非常によくして頂いたが、なんとも言えない複雑な気持ちと戸惑いがあったのは、多分先生も僕も同じだったんじゃないかなぁと思う(なんとなく空気で)。

その後、今度は婦人科で先生(女性)の診察。
まだこの先生になってから一度も検査(内診)をしてもらったことはなかったんだけど、話の流れで「それもしていきますか?」ということになった。
胸も異常なしで安心したんだから、ついでに下の方も・・・っていうのもあり、せっかくだから面倒なことは一度にやってスッキリしてしまおうということで、初の内診。
細胞を採取しての頚がん検査まではしなかったんだけど、内診とエコーの結果、問題なし。
さすがに3年ホルモンを打ったから、卵巣はだいぶ委縮してきていると言われた。

勿論、言うまでもなく僕も内診は(胸の検査も)好きではない。
ただ、異常が出ても仕方のないこと(ホルモン治療)をしているわけだから、機会があれば検査に対しては積極的でいたいと思っている。
嫌だからって避けて、異常に気付かずそこの病気で死んだりする方が、検査よりよっぽど嫌だし悔しいから。
そりゃ避けて通れるならそうしたいのはやまやまだけど、現時点で胸オペも内性器摘出手術も受けていない以上、病気のリスクがある(しかも普通の人より高い)・・・というのが現実だし、だからこそその割り切りった気持ちを原動力にして検査を受けるようにしている。

・・・ま、そうは言っても、やっぱり検査が平気なわけじゃない。
他の診療科の医師や技師の人に接するだけで(病院では戸籍上の性別が知られているから)非常に緊張するし、胸とか下とか診られるとなったら当然憂鬱にもなる。
特に今の病院では、ホル治療をしてもらっているのは僕だけらしいから、病院のスタッフも慣れてるわけじゃなくて尚更緊張する(以前の病院はかなりの数のGIDが通っていたのでスタッフも比較的慣れた人が多かった)。
だけど、僕がGID患者の前例のない病院に通うことによって、今後のGID医療に繋がっていけばいいなと思って通っている。
前例を作っておけば、他の誰かが治療を受けやすい環境ができてくるしね。

マンモと内診の後は、ホルモン注射とインフルエンザの予防接種。
インフルも予定になかったんだけど、先生が快くオーダー出してくれたので急遽受けることになった。
左腕に予防接種、右ケツにホル注(笑)。
なんだか非常にハードな1日だったのでした・・・。

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2012/12/02  ホル注変化 肉体編6【声】

僕に限らないと思うが、声の変化はかなり求めていた変化の一つだ。
まだホルモン治療というものを知らなかった頃、初めて友人にそういう治療法があることを教えてもらい、多少なりとも声が変化する可能性があると知って心の底から希望を持った。
知るまでは、それだけはどうにもならないものだと思っていた。
僕がホルモン治療を望んだ3大理由に入るかな。
モミアゲに並んで(笑)。

声に関しては、調べてみるとやはりホルモン投与の効果である以上、年齢がいってると若い人ほどの変化は望めない可能性があることも分かってきた。
カウンセリングの際にも、そういった可能性については先生に聞かされたしね。
現実を知って凹みはしたが、それでもやっぱりダメもとの覚悟で可能性に賭けてみたいと決めた。
まぁ・・・正直あんまり期待してなかったけど。

声って、パス度の中でかなり重要なファクターで・・・悩んでる人も多いと思う。
見た目がある程度パスしてたとしても、声出した瞬間に「あれっ?」って顔されたりもする。
そういうリアクションに何度も遭遇するうちに、そう思ってんだろうなっていう被害妄想にも陥って、だんだん声を出すのが苦痛になってくる(僕だけ?)。
ホル前の僕は、買い物とかレンタルショップとか、とにかく日常のあらゆる場面で、他人に一言でも声を発するのが嫌だった。
勿論知り合いとは話せたけど、例えば携帯やSkypeで、たまたま自分の声がエコーで聞こえてきちゃった時なんかも激しい嫌悪感に襲われた。
今から考えると、もうノイローゼに近かったのかもしれない。

僕はそれでもそんなに高い声じゃなかった。
女性というには低く、男性というには高いという感じの声。
だけど、声を聞いた相手には十中八九女性と判断された。
若い頃女性~中性くらいの恰好(服装)をしていた頃はそれでも(心の問題は別として)生活に問題はなかったが、いい年になってきた上にあからさまな男性の恰好をしていると、多少のパス度があったがために(まして肌焼いてパス度は多少上がっていたので)、なおさら声を出した瞬間の相手のリアクションがキツかった。

思うに、男性と女性の声の違いは、単に高さだけではないと思う。
音質のレンジというか、そういうものが根本的に違う気がする。
それはやはり声帯や咽頭周辺の骨の形状などが影響するんじゃないだろうか。
僕はいくら低く声を出しても、男性と思われることはまずなかった。

何度かお勧めしている『ホルモンテキスト』のページに、男性ホルモンの変化ということで下記のような記述がある。

咽頭の軟骨(甲状軟骨)の肥大化による、声の低音化。いわゆる、声変わりがおこります。声変わりが落ちつくまでには、半年から2年くらいかかります。その間は声が出しづらかったり、歌が歌いづらくなります。

前回のホル注変化で喉仏について触れたけど、これを読む限りやっぱり気のせいじゃなく、本当に多少なりとも変化があったのかもしれない。
ホルモン注射を始めて、確かに声は変わった。
年齢的に考えてあまり期待してなかった僕からすれば、それは充分な変化だった。

とはいっても、打ってすぐに変わったわけじゃない。
多少の変化が出始めたのは2~3ヶ月以内くらいだったと思うが(このブログの初期を読まないと思い出せない)、今くらいの状態に落ち着くまでには確かに2年程度かかった。
その間、いずれも極端ではなかったが、心もちハスキーな日があったり、野太くなる日があったり、そうかと思えば戻ったように感じる日があったりと、不安定で落ち着かなかった。
また、その不安定の波がホルモン注射のサイクルと一致しているかというと、必ずしもそうでない時もあったから戸惑った(要するに、“注射後しばらくは声が太くなったりハスキーになったりして、日が経つに連れて戻ってしまう”・・・というわけでもなかった)。
そんな、日によったバラつきが月日が経つにつれて徐々に安定していき、2年を過ぎた頃からはいつの間にか気にならなくなった。
いよいよ落ち着いたのは、やはりここ1年ぐらい・・・つまりはホル開始後2年といったところだろうか。

男女の声の違いについて、先ほど「レンジが違うのではないか」と書いた。
それについて調べてみたのだが、興味深い情報を見つけた。
美紀さんというMtFの方のWEBサイト『Miki's T Room』の『T's Room』というページでは、トランスジェンダーに役立つ健康関連情報などがいくつか詳細に載っている。
その中の『女声を得る』というページに、『男女の声の違い』が詳しく解説されている。
ここに丸ごと転載は出来ないので、声の仕組みや違いを知りたい方は、ぜひとも上記ページを読んでみて下さい。
MtFさん側のお話は、FtMにとっても逆で考えれば非常に参考になります。

さて、違いとして、まず、成人男女の声帯の長さの違い。
平均値ではあるが、女性11~17mmに対し、男性は17~23.5mmとのことで、これにより発する声の基本周波数にも違いが生じてくる。
そして、それに伴って基本周波数の違い。
成人男女の平均的な声の周波数と音程(()内)は、男性 60Hz(C2)~500Hz(C5)に対し、女性128Hz(C3)~800Hz(G5)とのことで、やはり男女で明確な違いがあることが分かる(ちなみに人間が聞き取ることのできるのはおおよそ20Hz~20000Hz)。

また、Wikiの『変声』項目には下記のようにも説明されている。

男声と女声の違いは、ほとんどが声種の違いによるものである。変声期以前は男女とも頭声主体で発声する人が大半だが、男性の場合は第二次性徴期に声帯周辺の筋群の均衡が急変し、胸声主体の発声を強いられることになる。これが変声と呼ばれるものである。1オクターブ下がるといわれるのは頭声と胸声の音域の差である。
変声の初期において、発声者は習慣的に頭声発声をしようとするから発声は不安定なものとなり調子外れな声を出すことになる。多くの場合、これを嫌って頭声をほとんど使わない発声へ移行する。一方、変声がゆっくり進行する場合や発声者が脱調をいとわない場合などでは、頭声の要素が多く残ることがある。この場合、声変わりしたことを本人が自覚しないことがあり、女性のように高い音域を維持することが多い。また、ややノイジーな声になることも多い。
逆に女性や小児であっても胸声発声が習慣付く人も存在する。この場合は成人男性に近い音域になる。特に日本人は女声の胸声発声を嫌う傾向が欧米より強いようで、だみ声とか悪声などと言われ敬遠される風潮があったが、最近では落ち着いた深みのある声としてむしろ好む傾向も生まれていて、価値観が多様化しているところである。
女性や小児の声が少しずつ低くなっていると言われるのは、胸声発声する子供や女性が増えているために平均値が下がっていることを意味する。


つまり、違いは必ずしも声の高さだけではなく、発声法、その他にも話し方など、声の高低そのもの以外の違いによる部分も大きいということだ。
自分の声は、自分が一番付き合いが長い。
ずっと聞いてるから変わってもかえって分かりにくいし、まして声質自体が変わるわけではないから、尚更効果を実感できない場合もある。
それでも、ホルを打つことによって多少なりとも甲状軟骨などは変化し、数年かけて男性寄りの声が出しやすい条件になっていくわけだから、焦って落胆せず、その間は声そのものよりも発声法の工夫、男性としての自然な話し方を身につけていったらいいんじゃないかと思う。

僕の場合、確かに声は変わったと思うし、それによってパス度も上がった。
が、しかし、それがどの程度なのかということに関しては自分でもピンときていない。
自分自身は元の声を知ってるだけに、変化したのは分かっても、それほど大きくは『男性らしい声に変化した』という実感や自覚がない。

とはいえ、これ以上はほとんど変わることはないだろうし、現在の声がどう聞こえるか、どう思われるかは聞く人それぞれだろうから、気にするのは極力やめたし、パス度が徐々に上がってくるのと並行して気にならなくもなった。
以前、他人に声を発するのが苦痛で、買い物や電話の問い合わせもままならなかった・・・というあのノイローゼ気味だった頃に比べたら、今は随分垣根が取っ払われて過ごしやすくなり、声に関してはストレスのほとんどない生活ができていると思う。

ただ、その反面、声が変わるにあたり、失ったもの、不便になったこともいくつかあった。
今まで歌えていた曲(特にハイトーン部分)が歌えなくなった。
女性の曲ではなく、男性の曲である。
おそらく高音の声域が狭まったんだと思う(低音域は増えたと思うが)。
声(声帯?)が弱くなり、声枯れ知らずだった自分がすぐ声枯れしてしまうようになり、声量も出なくなった。
低くなったせいもあり、以前うるさいとまで言われた声は、聞き返されることが増えた。
そんなにハスキーでもないと思うのだが、特ににぎやかな場所ではかなり声が通らなくなってしまった。
戸籍変更していない以上、行政的な扱いは女性のため、女性で通ってくれないと面倒な場面(役所関係への電話など)があるのだが、今はいちいちカミングアウトしないと不審者に思われる(笑)。

それでも、僕は現段階でほぼ満足している。
何かを得たいと思ったら、代わりに失うものが発生するのは仕方のないこと。
他人(特にその場限りの他人)は僕が思うほど僕のことを気にしてはいないだろうから、これはただの自己満足なのかもしれないけど・・・まずは多少なりとも自分が充実しなくては生きてて楽しくないわけだから、日常生活に於いて気後れなく過ごせるようになったことは本当によかったと思ってる(勿論増えた不便もあるけど)。

そういう意味で、ホルモン治療というものは、僕の体に変化をもたらしてくれるよりも、心に変化をもたらしてくれたのかもしれない。

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2012/12/01  保険証の性別記載(追記)

『厚生労働省は9月21日、戸籍上の性別が確認できることを条件に、性別の表記方法は市町村の判断で工夫できるとした通知を出した』という件について、以前の記事で触れたが、ちょっと考えたことがあったので追記したいと思う。

この厚生労働省のお達しは、詳しくはこちらのような内容。
これは本当に、保険証の提示が苦痛なGIDにとっては、革命の一歩だった。
他ならぬ僕自身も、GIDの治療で通っているある程度理解のある病院は別としても、全く関係ない医療機関にかかる際、また、身分証代わりとして提示する際、性別の記載された保険証というのは非常に気が重いものだった。
パス度が低い頃、それを出してすんなり通れば通ったでつらいし、パス度が上がれば上がったで、保険証見せた相手が性別表記に気づいて一瞬見せる「・・・?・・・え?あれ?・・・あ、そうなの?」的なリアクションも(被害妄想かもしれないけど)しんどい。
だから、保険証表記の改革は、僕にとっても喜ぶべき進歩だった。

そこのところは、まず、明確に主張しておきたい。
僕もこの動きに賛同なのだ。

ただ・・・。

ただ、ふと思ったのだが・・・。
例えば、身分証で提示する分にはいい。
実際に男か女かなんてことは、大して重要ではない。
それと、男女で治療に違いのない医療機関(科)にかかる際も、それでいい。
全ての医療機関でカミングアウトしなければならないのは本当に面倒だし、その結果医療機関に行くこと自体が苦痛になれば、病気や怪我の悪化に影響し、日常生活に大きく支障が出てくる(下手すれば命にも関わる)。

しかし、万一男女によって差がある検査結果の数値を診断されたり、薬の投与方法などが違う治療を受ける場合はどうなるのか?
勿論、裏面に(元の)体の性別とGIDであることは明記されているかもしれないが、果たしてそれは見落とされることがないのか?
自己申告できる状況ならいいが、もしも意識のない状態で運ばれ、事情を知っている知人が一緒でなかった場合は?

考えすぎかもしれないし、そもそも血液型を間違えて輸血するような誤解から起こる医療事故が男女の違いで存在するのかどうかも分からないが、不意にそんな懸念も浮かんだので書いてみた。

なぜそう思ったのかというと、意外と医療機関でも性別の記載を注意して見ていない人が少なくないということを知っているからだ(パス度が高くなれば尚更である)。

僕は国保なので、毎年行政の健康診断を受けている。
当然保険証も出すし、問診票兼健康診断票にも予め性別は女性と記載されている。
去年までは病院に予約する際、前もってカミングアウトをしていたから、病院側も(こちらが申し訳なくなるぐらい)配慮してくださって、幸い問題なく健診を受けることができた。

しかし今年の健診は、引っ越した関係もあって、初めての病院で健診を受けることになった。
予約が必要なかったので、性別のことは当日受付で言うか問診票に書けばいいと思って病院へ行った。
受付が混み合っていたため(口頭で事情を言いにくかったので)、僕は渡された問診票に性同一性障害である旨とホルモン治療を受けていることをしっかり書き、且つ女性表記の保険証を渡して順番を待ったのだが・・・。

しばらく待って渡された検尿カップには、しっかり『』と印刷されていた
当然、カルテも『男』

パスしたことは素直に嬉しい。
しかし、である。
黙ってこのままにしていたら後々面倒なことになるのではないか、と考えた(まぁそのまま受けてみて、結果まで男のままスルーされるかどうかを試してみてもよかったのかもしれないが)。
どこかでカルテと保険証記載の内容を照合することになり、もし間違っていると判明したら、後から事情聴取で呼ばれたり、他人の保険証を流用して使ったと疑惑を持たれたり、最悪は健診の受け直しになったりするかもしれない。
そうしたら非常に面倒だ。

おまけに、保険証記載の『女』で健診を受けているのに、『男』のカップを渡されて、一体どちらのトイレに入ってカップを置いてきたらいいのか?
今の僕は普段男性用のトイレに入っているから、男性トイレに入り、『男』と記載されているカップを置いてくる分には特に問題ない。
ホルモンも打ってるし、血液検査の結果や(おそらく)尿検査の結果も、男性の基準値で判断されても大丈夫だろう(と思う)。
だけど、もし結果に『女』(でもある体だ)ということを加味してないと不自然な数値が出たら・・・・・・あぁ面倒くさい。
それならば、今のうちにカミングアウトしておいた方がまだ楽だ。

・・・ということで、泣く泣く看護師さん捕まえて口頭でカミングアウトをし、訂正してもらった。
看護師さんも慌ててカップの記載とカルテを訂正してくれた。
横棒二本引いて、赤文字で『』と・・・(それじゃめちゃめちゃ目立つっつーのに)。
ちなみに、この時は誰もいないのを見計らって女子トイレに入り、ソッコーで提出して逃げるように出てきました、ハイ(笑)。

要するに、言いたいことは「病院の人もそれだけ意外と性別表記を注意して見ていない場合がある」ということだ。
勿論見ている人の方が普通なのかもしれないが、外見上ほぼパスしてると、受付の人や看護師さんも人間であるから、保険証上の記載をうっかり見逃してる人もいるのは事実なのだ。
当然『見ていない』人に当たった方がこちらとしては気が楽だけども、もしも不測の事態(事故や急病)でその人に当たってしまったら・・・本当にそれでも問題ないのだろうか?と不安になる。
表の面に書いていてもそれなのだから、それが裏面となれば尚更そういったことは起こりうるのではないか・・・そんなふうにも思った。
と同時に、『裏面記載』と書かれれば普通に書かれてるより目立つので、かえってそれで見る人の注意を引くような気もした。

まぁ「GIDで治療に踏み切るならそれぐらいの覚悟はしとけ」という根性論の人もいるかもしれないが、治療に踏み切るのは少しでも快適な日常生活を得るためである。
治療上の不便や副作用の覚悟は必要であるかもしれないとしても、適切な医療を受けられない覚悟までしなければならないものなのだろうか。

かと言って、僕は最初にも書いたとおり、『保険証の性別表記形式変更』について、けっして反対ではない。
僕は免許証があるから普段の身分証はそれを出して事を済ますことができるが(免許証には性別表記が無いため写真さえパスしてればほとんど問題ない)、保険証しか身分証明証が無い人にとってはことさら深刻な問題だ。
だから思うに・・・。

ここから先はあくまでも僕の、現実味のない理想論になってしまうのだが。

保険証に性別表記は必要だ。
適切な医療を受けるために、これは必須である。
残念ながら、FtMはSRSしても『元女』の肉体という現実から逃れられないし、MtFも『元男』に変わりはない。
SRSを受けて戸籍まで変えれば記載上変えることはできるが、人は年を取りやがて必ず老いて体を壊す宿命なので、治療上申告が必要な場面がないとは言えない気が(個人的には)している。
その上で、社会上及び医学上、性別は『男女』という区別が浸透しすぎていて、『その他』的な分類を加えて認知してもらうのも即時という点では現実的じゃなく・・・そういった少し事情のある人たちが、その事情を把握してもらった上で、その時の状況に応じた適切な医療を受けるためには、やはり現段階で保険証に性別表記が無くていいとは言い難い。

それならば、いっそ保険証の(性同一性障害という記載も含む)性別というプライバシーに関しては、文字で記載しないで、医療機関では磁気カードとかバーコード、QRコード方式といった形で読み取るようにしてもいいんじゃないかな、と思う。
・・・ちょっと非現実的かもしれないけど(システム構築に税金がかかりそうなので批判も浴びそうだし)。

まぁレンタルショップやその他身分証の必要なところで性別が見えないと、男女共通で使えそうな名前の人の保険証は異性の知人友人彼氏彼女が悪用したりとデメリットがないとも言えない。
その部分は何かしらの対策が必要としても、現段階で同性同士の流用というのは対策がなされてないわけだから、いずれにしてもその辺りは性別関係なく対策が必要なんだと思う。

性別表記を無しにする。
別の表記でプライバシーとして、関係者だけが読み取り可能な情報にする。
そして、読み取った時のPC画面に『元女(男)、性同一性障害による治療中』と表示されても、いちいち驚かれないほどマイノリティーの存在が浸透する。
最終的には、マイノリティーであることが、人に知られることを怯えるような情報(弱み)にならない社会になればいいなぁ・・・と。
いい年して能天気なこと言ってんなって笑われそうだけど・・・そんなふうに思ったりもするわけです(笑)。

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