忍者ブログ

WILD HYBRID

40歳から第2章の人生をスタートしたGID(FtM)の航海日誌 

2024/09/20  [PR]

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

  • :2024/09/20/11:51

2008/08/27  Aクリニック カウンセリング vol.4

4回目かぁ・・・もう憶えてないな。
なんせコレ書いてるのは2009年3月だからな(笑)。
 
この日は確か、初めてネットで知り合った女性と会った翌日だったと思う。
会うまでにいろんな葛藤があった。
帰ってから、改めて自分の性別や身体、全てがイヤになり、鏡の前で乳房を引きちぎろうとしたり、翌日も痛むほど骨盤を殴ったりして、気が変になりそうだった。
 
この日、医者にこんな話をしたかは憶えてないが、子供の頃の僕の夢は死ぬことだった。
早く死んで、男になって生まれ変わって来たい、そんなことばかり考えていた。
子供の頃から完全主義で、完全でなければイヤだった。
女の身体をどうイジクっても完全な男になれないことは、その頃にはもうなんとなく分かっていた。
 
その頃見たマンガに、男女が脳移植をして入れ替わるという話があった。
ものすごく憧れた。早く実現可能にならないかと願った。
冷静に考えれば、それをするためには肉体の提供者が必要なわけで、しかも容姿など全く選べないわけだし、命がかかるような病気じゃない以外ありえない話なのだが、まぁその辺は子供の発想ということで許して欲しい。
 
しかし、子供心にも、実際自分が生きてる間にそこまで医学が進歩するとは思えなかったから、完全に男になるには、死んで生まれ変わるしかないと思っていた。
今考えると危ない宗教みたいな発想だ(笑)。
 
人は、遅かれ早かれいつかは死ぬ。
人生は一度しかないし、与えられたこの世での時間は気持ちひとつで天国にもなれば地獄にもなる。
 
どうせ生きるのなら、そしてどうせいつか死ぬのなら、悲観して生きるより楽しんで生きたい。
どうあがいたって、ムリなものはムリなのだ。
だが、気の持ちようというものはいくらでも変えられる。
そして、楽しんで生きるためには、動かしようのない自分の女性的な部分を否定していてはダメだ。
 
この頃、なんとかそのことを医師に伝えようとしていたような気がする。
それは決して、迷いや躊躇とイコールではないということを。
 
相変わらず、文章作成と人物画にも苦労していた。
文章作成はマジでキツイ。なんせ毎回同じプリントなのだ。
同じものを何度もやらせて、その都度都度の精神状態を見る・・・ということなのかもしれないが、延々同じものやらされる方としてはシンドい。
診断結果も知らされないし。
「子供の頃、私は・・・」の後に続く文章とかさ、いつかネタ切れするって(汗)。

拍手

PR

2008/08/20  Aクリニック カウンセリング vol.3

行って即診断してもらえるとはさすがに思っていなかったが、医師の口調では数ヶ月単位でカタがつく話ではなさそうで、どれぐらいかかるのか想像もつかないままゴールの見えない通院が始まった。
おそらく医師によって期間も様々なのだろうが、ネットで情報を探しても、期間的なものが分かる体験談は見つからなかった。
 
医師は、僕がどれぐらい男性として生活しているのかを尋ねてきた。
最も分かりやすい例として外でのトイレの話を挙げた。
 
僕は、それまでトイレは女性トイレを使っていた。
しかし、変な目でジロジロと見られたり、後からヒソヒソされたり、洗面所で手を洗っていたら入ってきた女性が僕を見て男子トイレと勘違いしたのか、慌てて出てってしまったこともあった。
そういうことが度重なってあり、徐々に外でトイレに入りにくくなっていた。
 
医師はあっさりと
「男子トイレには何故入らないんですか?」
「入ってみたらどうですか?」
と言った。
 
そりゃ僕だって変な目で見られずにトイレに入りたい。
だけどね、39年間入り続けた女子トイレを捨てて、この年から入るトイレ変えるのって、それはそれでものすごい勇気要るし、かなり入りにくいんだよ。
 
医師にそう言われてその後試してはみたものの、男性トイレに入ればスムーズなのかと言えば決してそうじゃない。
人がいると一瞬「ン?」って空気が漂うこともあるし(まぁ男は女性ほど相手をジロジロ見ないからマシと言えばマシだが)、個室に入って小の音がするのも不自然な気がして落ち着いて出来ない。
男として男子トイレに入るには、ホルモンも打ってない僕はいわゆるパス度がまだ低過ぎる気がする。
ナベシャツ使っても隠しきれない胸と、安産型のデカイ骨盤、そして女顔。
この3つが僕を男に見せてはくれない。
声が低かったりヒゲがあったりすれば誤魔化しが利くのだが、声は低めとは言っても女声だし、体毛も元々薄く、髪も長め。
 
「それなら髪を短く切ればいいじゃないですか?どうして切らないんですか?」
と医師は言う。
 
髪を短く切れば男に見えるというのはあまりにも安易だと僕は思う。
髪を短く切って、最も目立つのは顎のラインや首もとのラインだ。
この2点は男女だと明らかに異なる(もちろん例外もあるが)。
女性は首が細く、しなやかな曲線で、顎のラインもゴツくはない。
それらが髪を切ることによって露出する。
だからむしろ短く切った方が女性らしさが際立つ場合もあると僕は思っている。
おまけに僕は、髪が直毛で、短く切ると根元からツンツンに浮き、しかも耳はやたら小さく、モミアゲに関してはほとんど無い。
 
恨み言は省くとしても、僕の場合、短髪にするとかえって女性っぽくなるのだ。
かと言って、ロンゲにしたらまんま女性だし、髪には本当に苦労してきている。
っつか、ムリだけど本音を言うなら、髪がロンゲであろうとも男に見える人間になりたいんだよ!(怒)
だって男は髪長くたって女に見えないじゃないか・・・。
 
余談だが、以前、トイレの悩みを人に言ったら、「障害者用を使ったらいいじゃん、あれって男女ないし」と言われた。
まぁ確かにそうなのだが、その時の僕はなんだか落ち込むやら腹立たしいやらな気分になった。
母が障害者なので、単純に、健常者が障害者用を使うのって抵抗あるし、だけどもうそういうとこ使わないとトイレにも不自由するのか・・・。

診察の後は、再び心理検査。
やった内容は、前回と同じで、文章作成と人物画。
人物画は、何を書いたのかとかサッパリ憶えてない。
でも、汗かくぐらい苦労したのは憶えてるなぁ。

拍手

2008/07/30  Aクリニック カウンセリング vol.2

とりあえずどんなペースで通えばいいのかも分からないので、隔週で通うことにした。
数を通えば早く診断ももらえるのではないかと思った。
 
魔法があってパッと変えられるなら、迷わず今すぐ男の身体にして欲しい。
しかし、実際はそうはいかない。
だったらどこまでの変化を望むのか。
手術までするのか、しないのか。
 
それは医師の話を聞きながら、時間をかけて決めていくものだと思っていたし、様々な情報を得る中で考えが変化する場合もあると思っていた。
僕の考え違いかもしれないが、そのことが「躊躇」「迷い」と解釈されるとはあまり思っていなかった。
 
僕は、当初はホルモンのみの希望だった。
外科的なことは、大きな費用もかかるし、その費用は今の自分にとって難しく、また、肉体的な負担も40歳の身体には大きいと思った。
死んでもいいと踏み切る同年代の人もいるのだろうが、僕は身内が何人も倒れたり死んだりしているのを見てきているので、死に対しての恐怖もあり、そこまで命を懸けるのには躊躇がある。
 
ただ、ホルモンに関しても、やはりリスクは伴う。
そのリスクというものが漠然としてイマイチ分からないのだが、少なくとも肝臓に負担がかかり、血栓が出来やすくなることだけは分かった。
僕の父方の家系は代々続く癌家系、母方は血管疾患の家系だ。
そして父は既に癌で他界し、母も脳出血で半身不随になっている。
どんなに男性化したくても、このことが僕に二の足を踏ませる。
 
ただ、せめて、自分自身に選択権が欲しかった。
男性化をあきらめるにしても実行するにしても。
例えばもし仮にホルモンを打たないんだとしても、診断が無くて「打てない」んではなく、診断はあるがあえて「打たない」と自分で選びたい。
とにかく自分がFtMであるならFtMだという太鼓判が欲しい。
ホルモンだの手術だの決断するより先に、何よりもまず医師の診断が欲しいのだ。
 
性格の問題なのかもしれないが、僕は自称という形では他人に自分をどう説明していいのか分からなかった。
医師から「性同一性障害です」という診断をもらえば、人に自分を説明する時、胸を張ってそれなんだと言える。
なんだか分からず言えなかった39年間が終わる。
 
2回目のカウンセリングには自分史を書いて持って行った。
どう書くかの指示はあまりハッキリなかったので、自分の家庭環境や幼少時代の体験まで書き込んで、相当な長さになってしまった(汗)。
性別のこと以外の内容は不要だったのかもしれないが、自分の中でそれらは少なくとも影響があると感じていた。
 
医師の診察の後、この日が臨床心理士との最初の心理検査だったような気がする。
心理検査は、主語だけ書かれた文章に、文章を作っていくというもの。
60問あり、自分はとても時間内では終わらず、持ち帰らせてもらった。
また、もうひとつの課題は、画用紙と鉛筆が出され、「何も指定はしないから自由に“人”を書いて欲しい」という内容だった。
これもまた苦手な課題だ。
何とか書いたがシンドかった。

拍手

2008/07/16  Aクリニック カウンセリング vol.1

ジェンダー外来の初診。
 
この病院は、医師の診察30分に、臨床心理士の検査が1時間というシステムになっている。
 
GIDを配慮して、下の名前は希望の名前で呼んでくれる。
また、診察券に性別の表示は無い。
 
セクマイの世界を避けて年だけ取ってしまった僕としては、ジェンダー外来にかかるのも初めてだし、何をどう話していいか分からないというのが正直なところだった。
自分のことを一生懸命話しはしたが、どうも要領を得ないと言うか、ウマく伝えられた気がしなかった。
 
医師は、僕がどこまで男性化したいのか、というようなことを聞いてきたような気がする(ハッキリ憶えてないが)。
僕は、僕がそれを決める前に、医師からそれぞれの段階やリスクの話などの詳細説明があると思っていた。
僕自身はそれを聞いてから決めていこうと思っていたため、分からないままでの即答は出来なかった。
で、どうも即答出来なかったことが「迷いがある」と判断されたような気もした。
 
医師は、「性同一障害のガイドラインを知っていますか?」と僕に聞いた。
僕は、一応ネットでザッとは読んでいたものの、あまりきっちりは読んでいなかったため、「まだちゃんとは読んでいません」と答えた。
それに対して医師は、「ネットで検索すると出てくると思いますから、読んでおいてください」と言っただけだった。
僕がネットで知ったホルモン注射などの知識も、もっと詳細な話が聞きたくて「ネットで見たんですが・・・」と話すと、ひと通り聞いた後、「そうですね、そういう感じです」みたいな返事が返ってくるだけで終わってしまった。
その段階で、僕の中には少々疑問が残った。
 
まぁ確かにガイドラインは原文そのままを読めば問題ないとは思うが、ある程度の知識を患者が既に知っていて、ある程度の結論は患者が既に決めているという前提で、話をするのはどうなんだろう?
 
確かに今はネットで様々な情報や知識が手に入る。
しかし、その中には無責任でいい加減な情報も多く、必ずしも信用出来る情報ばかりとは限らない。
そんなものはむしろアテにさせないで、正しい情報を提供するのが医師の存在意義なんじゃないのか?
 
ネットでは、いいことばかり、若しくは悪いことばかり書いているページもある。
例えばホルモンひとつにしても、メリットとデメリットの両方が、しかもこの年齢の人間が打つ場合どれだけリスキーなのか、そこまで知らなければ、決断など出来るわけないじゃないか。
決断の早さ&決意の深さ=本気度、ということでもない。
 
話した感じでいけば、医師は決して悪い人でもなく、僕の苦手なタイプでもないし、聞けば答えてくれる人なのだが、僕が人間不信で医師を疑い過ぎているのか、少々の不安を残す第1回目となった。

拍手

2008/06/30  産婦人科

もう相当以前から、産婦人科には通っていた。
病院は違うが、古くは高校の頃からだ。
 
昔から、量の多い少ないの差はあったが、不正出血というものに悩まされてきた。
最初は、癌などの病気ではないかと考えて怖かった。
初めて行った時は、性別云々以前に、思春期という年齢もあってかなり抵抗があった。
 
今でこそ不正出血でも医者はちゃんと相談に乗ってくれるが、めぐり合わせが悪かったのか、僕の時は内診して癌検査してなんでもないと分かると「病気じゃないから大丈夫」と何の治療もしてもらえなかった。
 
病気じゃなくても、ひどい時には月の半分以上の期間、生理用品をつけてなければならないなんて時もあった。
うっかり何もつけていないと、鮮血が出た時などはジーンズの表側まで血が染みてくることもあった。
 
その都度、病気が怖かったり、なんとか治して欲しくて、病院を変えたりしたのだが、治療をしないどころか原因を突き止めようともしてもらえなかった。
某大学病院では、ロクに診もしないで止血剤をポンと出されて終わり、なんてこともあった。
 
生理はただでさえイヤだ。
しかも、生理じゃなくても血が出るなんて、やりきれない。
苛立ちに、自分の下腹を何度も殴りつけたこともあった。
 
30歳を過ぎてから、ようやく真剣に診察してくれる医師にめぐり合った。
結局、ホルモンバランスの悪さと、ストレス、そして排卵出血が人より多いのだろうという結論に至り、ホルモンバランスを整えるため、2種類のホルモン剤を数ヶ月間飲むことになった。
不正出血の症状が出るとその薬を飲む、という治療を繰り返した。
 
ところが、自分の性別に対しての考えがハッキリしてくるのと同時に、その薬を飲むこと自体が苦痛になっていってしまった。
なんと言っても、飲んでいるのはピルとプレマリン。
つまり、女性ホルモンだ。
ピルを飲んでいる間は身体が妊娠状態に近くなるし、プレマリンはMtFの人が飲んだりもする女性ホルモン剤だ。
願いと逆行した治療をせざるを得ないことが、苦痛でないはずが無い。
 
月ごとに苦痛が大きくなり、苦痛が大きくなるのと比例して、薬を飲んでも不正出血が抑えきれない状態になってきた。
ある時、医師に相談した。
「いっそ生理を止めるとか終わらせることは出来ませんか?」
医師は、出来ないこともないが、本来は病気の治療として行うことで、女性ホルモンの分泌を薬でブロックして生理を止めた場合、一気に更年期障害の症状が出てくるので、そちらの方が心配だ、と言った。
その時、僕は初めて医師に自分の心の性別をカミングアウトした。
 
医師は一瞬戸惑っていたが、それでも、話してくれてよかったと言ってくれた。
それなら確かに女性ホルモンを飲むことは苦痛だろうし、不正出血は精神的なものもあるから、その薬を飲むことによって多大なストレスがかかるならかえって意味が無い、とりあえず止血剤を出すから、出血があった時はそれを飲んで、出来ればそういった相談に乗ってくれる専門の病院に行ってみた方がいい、と薦めてくれた。
 
結果的には、その医師の言葉が、僕が動き始めるきっかけにもなった。

拍手