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WILD HYBRID

40歳から第2章の人生をスタートしたGID(FtM)の航海日誌 

2024/09/20  [PR]

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  • :2024/09/20/09:10

2009/03/04  Aクリニック カウンセリング vol.10

ブログがリアルタイムになってから、初めてのカウンセリング。
 
今日は行く時にいろいろと考え事をしていて、自分の考えがまとまったいいタイミングでクリニックに着いた。
このブログを書くために過去の考えを回想したことも、考えがまとまることに多少影響したのかもしれないと思う。
 
今日は、通い始めて、初めて、医師に本音をぶちまけた気がした。
あんなに機関銃の如くしゃべったのは初かもしんない。
とは言っても、口調は少々熱弁って程度で、そんな激しくもなかったが。
 
僕の意見はあくまで僕の意見なんで、人からしてみれば賛否両論あると思う。
だからあまり気にしないで欲しいんだけども・・・。
 
Bクリニックに自分史を提出するにあたり、書く内容の項目が指定されてる。
漠然と「自分史を書いてきて」と言われるよりその方が書きやすいので助かる。
で、その項目の中にマスターベーションについてがある。
 
プリントをもらった時は「なるほど、そのことも必要なんだな」としか思わなかったし、そう指示した医師に対しても悪い感情は一切持ってない(今も)。
必要ならば、当然書いて渡す。
 
ただ、友達に「そんなことまで書かなきゃいけないんだ・・・」と言われて、ふと思った。
確かに、普通に考えたらすっげープライベートな内容だよな・・・。
 
問題が性別となれば、性的趣向(性対象など)も判定材料になる。
そう考えたら必要なことであり、僕のような人間にその面でのプライバシーなど無いのかもしれない。
普通の人は、自分のマスターベーションについて、よく知りもしない第三者に話すことなど一生ないんじゃないかと思う。
でも僕の場合、そこまで晒さなきゃいけない。
 
世の中、異常な性的趣向の人間はたくさんいる。
子供でなきゃダメだってヤツ、死体に欲情するヤツ、レイプじゃないと興奮しないというヤツ、近親相姦を平気でするヤツ。
だが、そういうやつらは、犯罪でも犯して事が表沙汰にならない限り、その趣向を晒す必要もなく、それを隠して社会の中で普通に生きれるし、結果、バレるまで差別もされない。
 
本来、性的趣向を晒す必要があるとしたらそういう犯罪予備軍だろ?
やつらにプライバシーも人権も無いなら分かるが、なんで僕が?
性対象が女性なのは、僕にとってなんら異常じゃない。
百歩譲って仮に一般社会では異常と呼ぶんだとしても、そもそも僕は相手の合意無しにしたいとは思わないし、相手を(肉体的にも精神的にも)傷つけたいとも思わない。
 
なのに、なんでそんなことを晒すことになってまで診断が欲しいのだろう。
そんなことを考えていた。
 
僕はまだホルモンに対しては検討中であって、打つと決めてない。
人によっては、ホルモンを打ち、その先に進むためにクリニックに通っている人もいる(もちろん必ずしもじゃないし、それが悪いと言ってるわけでもなく、考え方や目的の違いがあると言う意味)。
でも、僕の場合、そうじゃない。目的がそこじゃない。
なら何故?
 
キチガイ、気が狂ってる、異常な人間、出来損ない・・・あなたはそのどれでもない、GIDという普通の人間ですよ。
 
そう認めて欲しいのかもしれない、という考えに辿り着いた。

僕はクリニックに通い始めるまで、自分を狂人だと否定してきた。
「あなたは性同一性障害です」という診断は、GIDじゃない人・・・若しくはGIDに対して理解がない人にとっては、もしかすると「あなたは普通じゃないです」という判定に思えるのかもしれないが、僕にとっては「あなたは普通なんですよ」という、第三者が認めてくれる、初めての認定書なのだ。
だからこんなに望んでるのかもしれない、と思った。
 
人それぞれ、様々な人生の苦労があって、僕が生きてない人生のことを僕は知る由もないから自分のことばかり言っても仕方がないのだが、僕は今まで40年間、人に認めてもらったという実感が無い(そういう経歴が無いんではなく、あくまで自覚の問題)。
 
もちろん、僕を認めて受け入れてくれた人はいたはずだ。
だが、自分が自分自身の大部分を否定してるから、それが見えないし、受け入れられずにいた。
これは、周りに非があることではない、自分の非だ。
なぜそうなったのか、何かしら古い理由があるんだろうけど、自分じゃ分からないし、そこまで掘り下げて解決するとも思えない。
 
何とか周りや社会に変な目で見られないようにと、ムリして女性として生きてた期間はまだよかった。
しかし、自分らしく生きようと自分の心の性別に素直に生き始めてからは他人の視線ばかりが気になって、あまり表にも出れなくなり、しまいにはコンビニでタバコを買うのもやっとの思いでしか出来ない(声出して銘柄言うと「あれっ?」って目で見られるから)、半引きこもりで人間恐怖症な人間になってしまった。
そもそも、自己肯定が出来ない人間が、自分らしくなど生きられるはずがないのだ。
 
そんな情けない僕が、クリニックに通い始めた。
医師は僕が僕自身のことを深く話す初めての「友達でもない赤の他人」であり、友達のように僕に対してひいき目を持たない「第三者」であり、僕にとっては「社会の目」でもあった(多少好意的傾向に偏ってはいるが)。
だから、相手の細かい反応ひとつひとつが怖かったし、敏感にもなった。
 
なかなか本音までは辿り着けなかったものの、それでも徐々に医師と話し、時に反発することで、僕も少しずつ自分の考え方がハッキリし、その自分の考えというものを認めてやることが出来るようになってきた。
だからこそ、次は医師という「他人」に認めて欲しいのかもしれない。
当然、社会に出れば否定的な他人の目の方が多いだろう。
だが、そればかりじゃなく、「あなたは気が狂ってるわけじゃない」と認めてくれる人が他人にもいるということを実感したい。
それが僕にとっての「診断」であり「判定」なのかもしれない、と思った。
 
だから僕にとって、ホルモンをどうするか、ということは今決めることではなく、そのあとの問題なのだ。
迷ってるわけじゃなく、順序が違うから決められなかったのだ。
そのままの自分を認めてもらった後に、どの治療でも完全な男にまではなれないことを覚悟した上で、それでもなお身体を男に近づけるべく次のステップを踏み、更にオペという次のステップまで行きたいと望むのかどうか。
それはまず最初の段階を越えてみないことには分からない(僕の場合)。
 
医師に「ホルモンをどうしたいかは決まりましたか?」と言われるたび、決断を急かされているようでアセったし苛立った。
医師はおそらく心の経過を知りたくて聞いてくれているだけなのだが、僕の中のアセりや不安や罪悪感がデカ過ぎるために、勝手にそう解釈していた。
そして決断が出来ないことを「迷い」と思われ、「否定」されるのが怖くて、一刻も早く「ホルモンを打つ」という勇気を持たなければいけないと思い込んでいた。
 
順序が違う以上決められない。
今ムリヤリ決めても、それは自分にとって正しい選択とは限らない。
診断が出て初めて考えられる問題だ。
その時の自分の気持ち次第で結論は変わる。
だから今は決められない。
 
もう、決められないことに対する罪悪感は無いから、堂々とそう言えた。
医師には、このブログのままの流れで自分の考えを伝えた。
30分でこれだけのことを伝えなきゃならなかったから、結果的に機関銃になった(笑)。
 
医師は一通り話を聞いた後、「その考え方で正しいですよ」と言ってくれた。
(以下は、ハッキリ憶えてないので一言一句は違うかもしれないが、医師が僕に伝えてくれたおおよそのニュアンスを言葉に直したもの)
「私たちもスタッフも、ホルモン治療やその他の治療のためにお話を聞き、診断をするわけじゃありません。性別に違和感のある人が、苦しみを少しでも減らせるように、社会の中で生活していく上で少しでも生きやすくなれるように、時間をかけてお話を聞いて、そのお手伝いをさせてもらっています。診断も、そのためにしていくものです。だからあなたのその考え方は、まさにその通りですよ」
 
なんか、そう言ってもらえて素直に嬉しかった。
と同時に、今まできっと歯車が噛み合ってなかったと言うか、医師と僕とで気持ちがすれ違ってたんだなぁ、と思った。
医師はきっと最初からそういう理念に基づいて僕と向き合ってくれてて、でも僕は独りで勝手に医師の考えを誤解したり決めつけたりして、被害妄想に陥りながら答えをアセって苛立ったり落ち込んだりしてたんだろうな。
 
人がそうなってるのを見たことがあるんで知ってるんだけど、そういう時ってハタから見ててそうなってるよと教えてやっても、自分自身で気づかない限り、軌道修正って出来ないんだよな。
 
ようやく言葉に置き換えることの出来た自分の気持ち。
現時点で言えることは全部吐き出して、次回からが本当のカウンセリングになるのかもしれないな。
なんて、体力も使ってないのにクタクタになった帰り道、運転しながら思ってた。
 
今回、医師との話の内容が濃かったからえれぇ長くなった・・・。

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