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WILD HYBRID

40歳から第2章の人生をスタートしたGID(FtM)の航海日誌 

2024/09/23  [PR]

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  • :2024/09/23/15:34

2008/07/01  友人のアドバイス

前に、僕はセクマイの友人や仲間がいないと書いた。
でも、30歳ぐらいの時、ネットで知り合った女性が1人だけいた。
 彼女はレズビアンだが、TSやTGなどの知り合いもそこそこいる。
 
ちょうど婦人科の(女性)ホルモン治療を打ち切った頃、僕はネットでFtMや(男性)ホルモン治療のことを調べ始めていた。
とは言っても、周囲に知り合いはいないし、堅苦しい医学用語が並んでいるページや他人のブログでは今ひとつ具体的な感じがつかめない。
 
それまで、僕は、男性化するということは性転換手術を受けるという方法しか無いと思っていた。
ところが、ホルモン治療は、注射を打つだけである程度の男性化が望めると言う。
しゃべると「え?」という目で見られる嫌いな声も、個人差はあるものの男性に近い声に変わると言う情報を知って、希望の光を見たような気持ちになった。
 
だが、その男性化というのも、どの程度どうなるか、ということが詳しく分からない。
 
そりゃ出来ることなら完全に男性化したい。
が、そこまで望むならやはり手術は必須になってくる。
金銭的な問題もあるし、年齢的にも正直ムリを感じる。
そして、手術までしたところで、女性らしい骨格までは変えられない。
印象というものは、意外とそんなところから違和感を覚えるものだ。
どこまで身体をイジクっても、完全に男になれるわけじゃない。
 
だとしたら、ホルモンでどこまで男性化するのか。
声が変わり、毛が濃くなり、ヒゲが生え、筋肉質になり、その先はどうなるのか?
 
僕は、趣味でスノーボードをやっている。
趣味と言えばそれまでだが、一度命まで捨ててしまおうかと思った時、没頭することで命を救われた、唯一の生き甲斐だ。
一緒に行く男の仲間(若干1名)もいる。
 
始めた頃、僕は滑り終わった後の風呂がイヤで、汗だくのままウェアだけ脱いで、インナーは着替えもせずに帰っていた。
風呂=大浴場で、当然入るのは女風呂だからだ。
子供の頃から銭湯や大浴場が嫌いで、修学旅行などでやむを得ない時以外、一度も入ったことがない。
友人と温泉旅行などに行くことがあっても(滅多に行かなかったが)、自分だけは内風呂で済ませた。

そんな僕に付き合って、仲間も風呂に入らないで帰っていた。
しかし、40も超えたオッサンとしては、風呂も温泉も大好きなはずだ。
 
僕の勝手な好き嫌いに付き合せるのが可哀想で、ある時期から僕は風呂に入るようになった。
「大手を振って女風呂に入れるぜ♪」なんて開き直って言ってはいるが、実際には非常に居心地悪いし、目のやり場にも少々困る。
それでもスノーボードでヘトヘトになり、その後冷えた身体に風呂は必要だ。
 
ホルモンを打ったら、その風呂にも入れなくなるのだろうか。
手術まで行かなきゃまず男風呂には入れないわけだし、その上女風呂まで入れなくなったら、また仲間に不自由をかけなきゃならなくなるのだろうか。
ハタが聞いたら笑うような悩みかもしれないが、当の本人にとっては結構深刻な悩みだったりした。
 
そんな折、冒頭の友人と話す機会があって、そんな話をポロッと口にした。
すると彼女は笑って言った。
「別にホルモン打ったって胸がなくなるわけじゃないし、アレが生えてくるわけでもないし、大丈夫よ、お風呂ぐらい。そりゃあんまり男っぽくなってたら多少は驚かれるかもしれないけど、あるものあるんだし、ヒゲだって少しぐらい濃い女性はいっぱいいるんだから問題ないわよ」
 
実際本当にそんなんで大丈夫なのかは分からないが(汗)、とにかく可能性がゼロになるわけじゃないんだ、と分かってホッとした。
喜ばしいことではないが、それと同じぐらい、僕の性別のことが原因で仲間に不自由をかけるのも僕はイヤなのだ。
 
それ以上詳しいことを知ろうと思ったら、もう自分で直に聞くしかない。
最終的に彼女のその言葉に背中を押され、ついでにジェンダー外来のある病院を教えてもらい、僕はついにクリニックの初診予約を取った。

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2008/06/30  産婦人科

もう相当以前から、産婦人科には通っていた。
病院は違うが、古くは高校の頃からだ。
 
昔から、量の多い少ないの差はあったが、不正出血というものに悩まされてきた。
最初は、癌などの病気ではないかと考えて怖かった。
初めて行った時は、性別云々以前に、思春期という年齢もあってかなり抵抗があった。
 
今でこそ不正出血でも医者はちゃんと相談に乗ってくれるが、めぐり合わせが悪かったのか、僕の時は内診して癌検査してなんでもないと分かると「病気じゃないから大丈夫」と何の治療もしてもらえなかった。
 
病気じゃなくても、ひどい時には月の半分以上の期間、生理用品をつけてなければならないなんて時もあった。
うっかり何もつけていないと、鮮血が出た時などはジーンズの表側まで血が染みてくることもあった。
 
その都度、病気が怖かったり、なんとか治して欲しくて、病院を変えたりしたのだが、治療をしないどころか原因を突き止めようともしてもらえなかった。
某大学病院では、ロクに診もしないで止血剤をポンと出されて終わり、なんてこともあった。
 
生理はただでさえイヤだ。
しかも、生理じゃなくても血が出るなんて、やりきれない。
苛立ちに、自分の下腹を何度も殴りつけたこともあった。
 
30歳を過ぎてから、ようやく真剣に診察してくれる医師にめぐり合った。
結局、ホルモンバランスの悪さと、ストレス、そして排卵出血が人より多いのだろうという結論に至り、ホルモンバランスを整えるため、2種類のホルモン剤を数ヶ月間飲むことになった。
不正出血の症状が出るとその薬を飲む、という治療を繰り返した。
 
ところが、自分の性別に対しての考えがハッキリしてくるのと同時に、その薬を飲むこと自体が苦痛になっていってしまった。
なんと言っても、飲んでいるのはピルとプレマリン。
つまり、女性ホルモンだ。
ピルを飲んでいる間は身体が妊娠状態に近くなるし、プレマリンはMtFの人が飲んだりもする女性ホルモン剤だ。
願いと逆行した治療をせざるを得ないことが、苦痛でないはずが無い。
 
月ごとに苦痛が大きくなり、苦痛が大きくなるのと比例して、薬を飲んでも不正出血が抑えきれない状態になってきた。
ある時、医師に相談した。
「いっそ生理を止めるとか終わらせることは出来ませんか?」
医師は、出来ないこともないが、本来は病気の治療として行うことで、女性ホルモンの分泌を薬でブロックして生理を止めた場合、一気に更年期障害の症状が出てくるので、そちらの方が心配だ、と言った。
その時、僕は初めて医師に自分の心の性別をカミングアウトした。
 
医師は一瞬戸惑っていたが、それでも、話してくれてよかったと言ってくれた。
それなら確かに女性ホルモンを飲むことは苦痛だろうし、不正出血は精神的なものもあるから、その薬を飲むことによって多大なストレスがかかるならかえって意味が無い、とりあえず止血剤を出すから、出血があった時はそれを飲んで、出来ればそういった相談に乗ってくれる専門の病院に行ってみた方がいい、と薦めてくれた。
 
結果的には、その医師の言葉が、僕が動き始めるきっかけにもなった。

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2008/04/22  心療内科

まぁ元々短気ではあるのだが、ある時期から自分の異常なイライラが怖くなっていた。
 
僕の親父は既に他界し、お袋は要介護で長期入院している。
両親との関係や、(性別のこととは別に)戸籍上の事情など説明すると長くなるので省くが、そういった問題もあり、特に親関係の事柄が自分に降りかかってくるとかなりイライラした。
 
病院関係者や役所関係からは、娘さん(女)なんだから・・・という、あれこれ世話をして当然と言いたげな無言のプレッシャーがあった。
 
ある時、役所関係の人間の傲慢な態度に怒りが爆発した。
と言っても電話で怒鳴り散らしただけなのだが、自分では、もし目の前に相手がいたら殴り飛ばしていたかもしれない、という切迫した恐怖感があった。
それが、初めて心療内科の門を叩くきっかけとなった。
 
自分の抑えられなくなりそうな怒りが怖い。
その他にも、強い自己否定、人間恐怖症、社会に適応出来ない、睡眠障害、という悩みを医師に相談した。
心療内科は、平行して2つの病院へ行った。
途中から、3つめの病院へも通った。
 
しかし、結局睡眠導入剤と安定剤が出たぐらいで、大した解決には至らなかった。
「性別に違和感があり、もしかしたら性同一性障害かもしれず、そういった自分の気持ちを抑えつけてることも、怒りの要因になっているかもしれない」
3つの病院全てでそう相談もしてみたが、いずれも「考え過ぎではないか」とか、「気にしすぎでしょう」とか、「ウチは専門外」などと言われ、あまりまともに取り合ってはもらえなかった。

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2008/01/03  トラウマ

さて、ブログの説明文にも書いたけど、僕はTG?TS?FtM?GID?それとも?・・・といった感じで、少なくとも世間一般で大雑把に分類されるノーマルな性別の人間ではないようです。
 
戸籍と生物学上の性別は女性ですが、それが必ずしも自分の心や行動・趣向・外見とは一致せず、その違和感にかなり長いこと独りで悩んできた。
なんせクリニックに行き始めたのが39歳からだからね。
 
20代前半ぐらいの頃、つまり今から約15年ぐらい前に悩みがMAXになり、とにかく自分が何者であるのか、その答えが欲しくて、その答えを出すための情報が欲しくて、アングラな世界の情報収集を試みた。
 
同類の知人友人がいない僕にとってインターネットなんてものがまだ身近に無い当時、広い範囲での情報収集は非常に難しく、狭い世界の情報しか見つけられなかった。
 
で、全ての価値観が僕の見てきたものだけとは思わないし、僕が知らないだけでもっと違った集まりがあったのかもしれないが、僕が出会ってしまったグループ?集団?コミュニティー?の主流的な価値観は非常に偏ったものだった。
まぁそれでも当時、そこはセクシャル・マイノリティーのコミュニティとしてはそれなりに大人数でそこそこ有名でもあったとこなんだけど。
 
メインのメンバーはGIDではなくレズビアンの女性たち。
まだFtMやGIDという言葉自体もほとんど聞くことはなく、男性になりたい女性、自分の性自認が男性である女性はおなべと呼ばれるのがメジャーだった時代(と認識している)。
 
おなべである暗黙の条件もまた偏ったものだった(気がする)。
女性として生きることが出来る(出来た期間がある)人間や男性と付き合える(付き合ったことがある)人間は、ただそれだけで「アンタは違う、思い込みだ」と全否定される場合もあり、時にはボロクソに言われ、排除された(あくまでも僕が見てきた範囲の世界だけの話なので)。
 
自分が何故女性として生きていられる歳月があったのか、どうして男性とも付き合えたのか。
 
その説明は、生い立ちやら、家庭環境やら、その流れの中での人格形成やら、心理的影響やら・・・書き始めるととてもじゃないけど書ききれる量じゃないんで省かざるを得ないが、とにかくそのどちらにも当てはまった僕はそこで自分に対する答えを見つけ損なった。
 
そうか、僕はそういうカテゴリーに入れる人間でもないのか・・・。
 
女として生きた期間はあるが、女として生き続けることは苦しい。
男に惚れたこともあるが、男として女に惚れるし惚れたら触れたいとも思う。
でも(女性として女性に惚れる)レズビアンではない。
(女性として両性、若しくは男性として両性に惚れる)バイセクシュアルでもない。
かと言って、(女性として生きても来れた過去があっては)おなべでもない。
だったら僕はなんなんだ?
 
答えが出ないまま、もう出ることもないのだろうとあきらめ、自分の気持ちにフタをして、少なくとも社会で生きていく中で『異常な人間』に見られないよう、社会が決めた枠にハマる努力をして、あれから10年以上生きてきた。
 
そのコミュニティですっかり懲りて、そっちの世界の人間とも一切関わらないようにして生きてたので、相談出来る仲間もいない。
差別をされた代わりに、自分も差別意識を持ったのかもしれない。
 
最近になって、インターネットで膨大な情報を手軽に見られるようになり、この世界も随分変わってきたのだな、と思った。
それまでの人生の性別認識にハッキリした境界線がなくても、違和感を感じて生きにくく苦しいと感じているならFtMとしてカウンセリングを受けられ、必ずしも全否定されないことも知った。
 
ただ、正直、今さら開き直って生きるには、あまりにも長い年月、自分を抑えてきてしまった。
年齢ばかりの問題ではないとは思うが、それまでの人生が20年の人とそれまでの人生が40年の人間では
やはりどうしても壊せる固定観念に差が出てくる。
 
心だけじゃない。
身体だって、何もしなくても既にガタが出る年になっている。
身体に負担のかかるホルモンは、喉から手が出るほど打ちたくても、その副作用を考えると簡単には手が出せない。
「ヘタをすると命に関わる」の『ヘタ』が、20代の人よりは確実に傍にある。
 
クリニックに通って、改めてそれらを突きつけられ、39歳から、僕は自分の心や身体と向き合うことになった。

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2008/01/02  ハイブリッド

自然なままでいたいのに、人は何でも全ての事柄を何かしらのカテゴリーに入れたがる。
そしてそのどれにもハマらないと、異端なモノだとハジく。
 
アナタは女?それとも男?
心はドッチなの?好きになるのはドッチなの?
普段の生活はドッチでしてるの?
 
どっちでもいいじゃん、どっちでもいいよ。
アナタに見えるままで。
女に見えるなら女で、男に見えるなら男で。
 
そりゃ希望はあります。
「こう見られたい」って希望や願望は、性別に限らなきゃ誰にだってあるでしょう?
だけどそう見えないのにそう見てくれよって押し付けたら相手が迷惑するか、同情でそう扱われるか、そのどっちかになってっちゃうでしょう?
そんなモンどっちもイヤだし、欲しくない。
 
例えば血液型だって、大雑把に分ければ4タイプだけど、細かく分ければ個人を特定出来るぐらい数え切れないほどの種類がある。
 
なのに人間の、心にも大きく関わってくる性別が、なんで男と女の2種類しかなくて、その2種類しかあっちゃいけないと決められてるのか分からない。
 
世に言うFtMという部類におそらく入るであろう自分。
希望通りにならないことは山ほどある。
どんなに男に近づこうとも、生まれた時点の性が違えば、男は同性とはまず認めないだろう。
事実、骨格とか遺伝子情報までは変えられない。
認めたくはないけどそれが現実。
そしてそのイヤなとこも自分の一部。
そうでも思わなきゃ生きていくのも難しくなってくる。
 
男にだって女性っぽい部分はある。
女にだって男性っぽい部分はある。
普通の人だってソレが見え隠れする。
 
だったらホントにごちゃ混ぜの雑種がいたっていいじゃんよ。
 
問題なのは雑種の存在じゃなく、雑種に市民権が無いってことだろ。
それとも雑種だからっつって人間ですらないと言うのか?
 
男とか女とか、そういうの以前に人間でしょ。
人間として自然に、自分に素直に生きたい。
周りの決めた枠に合わせて自分殺して生きるなら、例え差別されなくたって生きてる実感なんか感じられない。
 
なんてことを考えつつ日々葛藤している、まだまだ弱い40歳の僕です。

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